Fマウント 口径食2021年08月10日

ずっと気になっていた、Fマウントによる口径食、測定してみました。

望遠鏡:R200SS+コレクターph
カメラ:Z7
マウント:以下の2種類を比較してみました

比較しようとした背景ですが、NikonのFマウントって径が小さいですよね。こんな感じです。

Nikon Fマウント・・・44㎜
Nikon Zマウント・・・55㎜
Canon EFマウント・・・54㎜



左が直焦ワイドアダプター60DXのEFマウント、右が同Fマウントです。内径52㎜のコレクターphの直後にFマウントが来るとかなりマウントケラレが発生しそうな気がしますよね。

Fマウント専用に設計されたレンズであれば問題ないのですが、望遠鏡の様なユニバーサルな仕様の場合、特に、私の持っているR200SSの様な明るいF値を持つ鏡筒では、光束が急激に絞られるので、マウント径の小さなFマウントだと口径によるケラレが発生しそう・・・。

実際、D810AとR200SSやBKP200/F800を持っている知人が撮影した写真を見せてもらうと、周辺減光が結構激しくて。

私がNikonのフルサイズの購入をためらっていたのはまさにこのマウント径。ただ、今は、口径の大きなZマウントがあります!

望遠鏡メーカーからZマウントアダプターは発売されていないので、普通に考えると、

『Fマウント+FTZアダプター+Z7』

ですよね。でも、最終的にZマウントになればよいので、別に望遠鏡側をFマウントで絞る必要はなく、より大きな、EFマウント経由でZに変換してはどうなのか?

Fマウント+FTZでの接続

EFマウント + EF to Zでの接続

光量の測定には、ステライメージ9の等光度曲線を使いました。

こちらは、Fマウント経由。周辺は急激に光量が落ちていることが分かります。落ち方も不自然ですよね。そうそう、私が知人から見せていだたいた写真もこんな感じで四隅が物凄く暗くなってました。これがマウントケラレなんでしょうね。

急激に落ち込んでいるのは75%より外側なので、APS-Cではマウントケラレは起こらないと考えて良いと思います。R200SS+D7500で良く撮影していますが、変にケラレを感じたことは無い、という私の感覚とも一致します。




↓こちらが、EFマウント経由。緩やかに落ちてます。Fマウント経由と比較すると差は歴然ですね。マウントケラレっぽい不自然な光量減は無いように思います。(^^)





ずーっと気になっていたのですが、少なくとも、私が所有するF値の明るいニュートン反射では、口径の大きなマウントを経由した方が良いと言えそうです。

天体写真ではCanonユーザーが多いような気がしますが、Nikonが選択しづらい理由の一つがFマウントだったような気がします。それが『Z』になって、EFマウント経由が利用できれば、デメリットは解消ですかね。

ま、最近は、冷却CMOSでの撮影が流行っていて、私もASI2600MCで今後撮影予定なので、これをどこまで利用するかは定かではありませんが。(笑)

何かの参考になれば幸いです。

M8 M20 猫の手星雲2021年08月11日

一年ぶりに天城高原まで遠征してきました。💖

そういえば、昨年の天城高原遠征は平日だったこともあり、1人・・・、しかも着いた時にはドン曇り。とっても怖かったし、天気も悪いし、すぐに帰ろうかと思っていました。結局そのあと快晴になり、大いに楽しめたのですが。ホントもの好きですね。

その天城高原、再び。昨夜は久しぶりの晴れということもあってか多くの天文ファンが訪れてました。

さて、今回は3月に入手して一度も出番がなかったε-160EDのファーストライトです。


私にしては珍しく日没30分くらい前に到着も、色々準備に手間取り、撮影開始は2時間後の20:30。その後、22:30くらいから雲が出始めてしまい・・・。24時には撤収しました。😢

何に手間取ったかというと、ε-160EDの上に同架したSigma135㎜+ASI2600MC Pro の画角調整とピント合わせ。甘く見てましたが、135㎜の画角調整って結構難しいですね。同架しているので、他の機材との接触等もあり。また、この画角で行こう!と決めて、撮影に入ろうと思ったら、以下のトラブルに見舞われました。

構成は、AXD + QHY 5L-IIM + ステラショットのオートガイド環境を制御するPCで、ASI2600MC Pro + Sharpcap も接続して撮影しようとしていたのですが、”カメラが切断されました”というエラーが頻発。

以前どこかのブログで、同じようなことを書かれていた方がいらっしゃったので、こういうことなのかな・・・、と思いながら。勿論、自宅ではそれなりにテストはしていたのですが、しばらく使っていた際に起こる不定期なエラーってなかなか事前のバグ出しが難しいですよね。結局遠征先で初めて経験することになります。

SharpCapをASIStudioに変更しても同じエラーを吐いていました。で、ASI Air Proで撮影だけ、なんて考えて、動かし始めましたが、結局こちらはあきらめて、ε+Z7での撮影に集中することに。

ただ、その後すぐに曇ってしまいました。

雲が立ち込める中、何とか撮影したのがこちら。M8-M20-猫の手です。特に今回、猫の手を撮影したくて。(笑)


今回、ISO感度を抑えて、一枚当たりの露出時間をたくさん取って、じっくり撮影しようと取り組みました。具体的には、ISO1,000 x 5分の露出。普段だとISO8,000で30秒とかなんですけど。

でも、この日の様に雲が多い時は、露出時間が長いと失敗写真が多くなり結果が出ないことが分かりました。

やっぱり、感度は高めで、多段スタックで・・・。

ま、色々やってみます。

今回、途中で曇ってしまいましたし、機材もトラブルがあったり、なかなか思うようにいきませんでしたが、やっぱり星を見るのは楽しいです。

次回はいつになるかなぁ。

Sigma Art 135mm F1.8 / 40mm F1.4 周辺減光2021年08月12日

R200SS+Fマウントの周辺減光検証のついでに、Sigma 40㎜ F1.4 と 135mm F1.8 の周辺減光も測定してみました。


この2本、両方ともフィルター径は82㎜と超ド級で大きく重いレンズです。

そもそも40㎜でF1.4であれば、収差や周辺減光など無視した単純な計算上は口径30㎜もあれば良い・・・、それがこんなに大きいということは、周辺減光はかなり少ないハズですね。

情報はこの辺り(40㎜135㎜)に出ているのですが、F1.4とF2.8、F1.8とF4しかありません。ASI2600MC Proと組み合わせた際、どのくらいまで絞れば周辺減光を気にせず済むのかいうことを確かめる意味で、調べてみました。

測定に使ったのは、フルサイズのZ7です。↓の様な感じで測ってみました。

測定の目的である、ASI2600MCはAPS-Cなので、少し余裕を見てフルサイズの70%くらいまでフラットであればOKと判断する、ということでやってみました。


まずは、Sigma 40mm F1.4 DG HSM Art です。

画像は全てjpeg 取って出し。光度の測定には、R200SSでも利用したステライメージ9の等光度曲線を使いました。

F1.4はこちら

F1.4の等光度曲線はこちらです。結構周辺減光ありますね。中心から端にかけて一直線で下がるあたり、Sigma のHPに掲載されているデータによく似ています。


続いてF1.8。jpeg で見ても、かなり収まってきている気がしますね。


F1.8の等光度曲線はこちら。フルサイズだとちょっと4隅は気になるかもしれませんが、APS-Cだと周辺までほぼフラットと言えるレベルかも知れません。


F2です。フルサイズ周辺では、まだ四隅が若干暗く感じますね。


F2の等光度曲線で見ても、フルサイズの4隅以外は全く気にならないレベル、APS-Cでは完全にフラットと言っても良いかもしれません。




↓F2.2です。フルサイズの本当の端っこ以外はかなりフラットになっている感じがします。


F2.2の等光度曲線です。何かいびつで途中で盛り上がっているのが気にならなくもないですが。(笑)ほんと、端っこだけが少し落ち込んでいる感じでしょうか。APS-Cだと完全にフラットです。


F2.8はこちら↓。写真では全然分からなくなりました。


F2.8の等光度曲線がさらにいびつ。(笑)SigmaのHPによると、周辺は70%くらいまで落ちるはずなのですが、ま、簡単測定だとこんなものでしょうかね。


40㎜ F1.4 のAPS-Cでは、F2.2まで絞れば、全然問題なさそうに思います。

続いて、135㎜ F1.8。絞り解放です。写真で見ても若干四隅が暗くなっているのが分かります。


等光度曲線で見ると、40㎜よりはましですが、やっぱり、中央から直線状に暗くなっています。でも、絞り解放としては周辺減光はかなり少ないような気がします。

続いてF2.0↓
写真ではかなり分かりにくくなってきました。

F2.0の等光度曲線です。ほぼフラットでしょうか。APS-Cでは十分使えそうに思います。

F2.2↓

写真では全然分からなくなりました。

F2.2の等光度曲線で見てもフルサイズの端までフラットに見えます。


135㎜も、APS-CでF2もしくは、F2.2まで絞れば周辺減光は気にすることなくなりそうな気がします。

Sigma のHPでは、周辺減光に関するデータも公開されていますので、凄く参考になりますし、安心して製品を購入することも出来ます。

今回、その間のデータ(F1.4とF2.8の間でどこまで行けるのか!?)を取得すべく、テストしてみました。ま、あくまで簡単測定ですが、APS-Cで使うこと前提であれば、40㎜ではF2.2まで、135㎜ではF2まで絞れば周辺減光は無視できるレベルまで改善しそうな気がします。

あとは、実戦ですかね。(^^)
実際に星を撮影して、画像処理を行った際に確認してみようと思います。

ASI Air Pro2021年08月14日

8月というのにずっと雨。梅雨に逆戻りしたような天気が続いてますね。涼しいのは暑いのが苦手な私には助かりますが。

さて、雨の日の機材ネタ。(^^)

天体写真のためのオートガイドや写真撮影には2017年から4年以上ずっとステラショットを使ってきました。ただ、ここにきて、1年ちょっと前に購入してほとんど使っていなかったASI Air Proをメインに使おうかなと思ってます。こんな感じです。


ASI Air Pro とオートガイダー、EAF、ASI2600MC Pro(写ってないですが)は全て50㎝くらいのUSBケーブルで接続できます。ASI2600MC ProやEAFへの12V供給も、ASI Air Pro経由で50㎝のケーブルで可能です。

このASI Air Pro、元々サブ機での利用目的に購入したのですが、以下の点でステラショット2より良さそうだなと思ってまして、入れ替えようかなと。

1.ステラショットがASI2600MC Pro のGain 100での撮影に対応していない
 撮影にはSharpCapやASI Studioなど他のソフトが必要となるのですがただ、オートガイドをステラショットで残すと何故か、SharpCap側でカメラの切断などトラブルが多い気がしています。

2.ZWOのEAFを導入した
 ε-160EDはEAF構成としています。これとASI Airを組み合わせるとAFが可能。バーティノフマスクでの確認も不要!?これ、うまく動けばかなり画期的です。

3.ケーブリングが楽
 上記した通りですが、ASI Air は本体を鏡筒に乗せられるのでオートガイダーやカメラとの接続が50㎝くらいのケーブルで接続できます。ステラショットだとどうしてもUSBケーブルが沢山PCに延びてくることになりますが、使い勝手を優先してUSB延長ケーブル使うと認識されなかったり結構煩わしい。逆にASI Airだと、ASI2600MC Pro で必要となる12Vの電源供給も橋渡し出来ます。要は、ASI Airがカメラやオートガイダーなどの電源供給とUSB接続のハブとなってくれるので配線がとても楽になります。

4.消費電力が少ない
 ステラショットは必然的にPCを使うことになります。恐らく、ノートPCでも10~20Wくらいだと思います。そこにUSBの拡張デバイスを使うとさらに消費電力は増えてしまいます。それに比べてラズパイベースのASI Airは消費電力も少ないはず。勿論、オートガイド用アプリを稼働させるタブレットやスマホは消費電力を食いますが、私の場合は iPad 利用。電池の持ちは極めて良いので、遠征先でバッテリーの担保は必要ありません。

ということで、ASI Air の消費電力測ってみました。USBメモリを接続した状態で、ACアダプターで給電。そのACアダプターの消費電力の測定です。5~6Wを示していました。PCの1/3くらいで、10Wくらい削減できる感じではないかと思います。遠征で10時間使うとなると、100Whなので、かなり消費電力の削減になる気がします。


ステラショット2はグラフィカルに撮影対象を確認できますし、極軸補正などASI Airにはないメリットもあることは理解していますが、EAFやASI2600MC Pro の利用を考えると、遠征先では、ASI Air というアプリだけで撮影からオートガイドまでできること、EAFによるオートフォーカスも対応、消費電力も低い、ということは大きなメリットになりそうです。

次回はこれで試してみて、うまくいけばこちらメインでこれから行こうと思います。

ステラショット2は撮影対象の確認とか、サブ機での利用を考えたいと思います。(笑)

Z7 USB接続2021年08月15日

天体写真に使っていた一眼レフは今まで、EOS X6i、D7500など全てUSB2.0規格。ただ、今使っているZ7はUSB-Cのインターフェースとなり、USB3.0の規格となっています。

USBって、コネクタータープはTypeA、B、C、Microなどいくつかありますが、それ以上にスピードや充電用に対応したもの、などなど、ケーブルを一目見ただけではわからないような規格がたくさんあります。で、今問題になっているのが、その辺にある何かの購入と一緒に付いてきたケーブル、

『コネクターの形状は合うけど使えるんだっけ?』

って・・・。

規格が良く分からないケーブルが宅内に多くなりつつあります。

Z7購入時に付属していたケーブルは、Type-C~Type-AのUSB3.0ケーブル
ただ、50㎝と短いため、天体撮影にはなかなか使いにくい。

で、手元にあった1mのType-C Type-Aのケーブルを使ってZ7をPCに接続して確認したところ・・・、USB2.0でしかリンクできませんでした。



ちなみに、↓がNikon純正のUSB3.0ケーブルでの接続です。SuperSpeed USBの下に入ってますので、きちんとUSB3.0でつながっています。


ケーブルのどこかに書いてないのか・・・・、と思って調べてみたら、ロゴで分かるんですね、初めて知りました。なんとなく、USBって、こんなマーク書いてあったなとは思ってましたが、『SS』の文字はSuper Speedの頭文字ですね。上がUSB3.0で、下が2.0のケーブルです。


ただ、↓の様にどこにも書いてないケーブルもあって・・・。これ、USB3.0対応ということで購入したケーブルです。もちろん問題なくUSB3.0で使えるのですが、どこにも記載はありません。ただ、データ通信用なので、充電には使うなということだけ注意書きが。ま、それも記載してくれているというのはありがたいのですが。💦


USBってユニバーサルで凄く使いやすいのですが、入手後は区別がつきにくいですね。最近はPCの充電やモニター出力も、USB-Cになっているものも多いのでさらに複雑になっている様な気がします。

今回色々調べてみて、手元にあるケーブルは一通り区別がつきましたので、今後は仕様に合うものを使っていこうと思っています。

ちなみに、撮影に使っているPCは2017年モデルのSpectre X360なのですが、このPC、USB-Aのデバイス認識力が弱く、ケーブルが長くなる、具体的には2mを超えるとUSB3.0のデバイスを認識しなくなります。短いケーブルであっても一部のUSB-LANアダプターなどは認識しなかったりします。

2m超えもLANアダプターの接続も、間にUSBハブをかませば問題がなくなるのでそちらで対処しています。LenovoのX1では全く問題ないのでSpectre X360の問題だと思ってます。OSは何度か入れなおしてみましたがダメ。ハードの問題っぽいです。

ま、色々ありますね。

遠征先でトラブりたくなかったらUSBケーブルは出来るだけ短くということが基本かなとは思いますが、どうしても使い勝手を優先するとケーブルが長くなるんですよね・・・。(笑)

Hotech レーザーコリメーター2021年08月22日

我が家にはR200SS、Ginji 300FN、ε-160EDの3台の反射望遠鏡があります。その光軸調整には、タカハシのセンタリングアイピース+センタリングチューブと、レーザーコリメーターを使っています。

レーザーコリメーターは、米国からHotechのレーザーコリメーターを個人輸入しました。

これを買う前に、Amazonで、安価なタイプを購入したのですが、レーザー光が真っすぐに照射されてなくてまず調整が必要。つまり、レーザーコリメーターのコリメートが必要になったのですが、私には凄く難しく感じたこと、また、2インチの接眼部に刺した時のガタがあり、中心からレーザー光を出すのが難しく感じ、ちょっと高いのですがこちらを購入しました。


特徴は2インチ差し込み口にあるゴム製のパーツ。3本見える細いリングです。こちらが、Compression Ringを回すと膨らんできて、2インチ差込口にガタなく真っすぐ取り付ける事が出来ます。

再現性もとてもよく、信頼性の高いパーツです。

今シーズン初の惑星観測2021年08月29日

昨夜、久しぶりに木星撮影を行いました。惑星観測は今シーズン初。話題の衛星食も大赤斑も何もない、『すごーくシンプル』な観測でしたが、なかなかすっきり晴れる日が少ない中楽しめました。


・望遠鏡:R200SS+Powermate x5
    fl=5,500mm (F27.5) 程度
・カメラ:ASI462MC + ADC + IRカットフィルター
・撮影ソフト:Firecapture
 Duration=120s
 FPS (avg.)=51
  ROI=1936x1096
 Shutter=15.20ms
 Gain=353 (58%)
・Processsing:
 AS!3 30% Stack
 Registax6 Wavelet
 7Set WinJUPOS De-Roration合成


久々に撮影しましたので勘が鈍ってましたが、木星であればもう少し拡大率を上げて、F40くらいで撮ったり、WinJUPOS使うのであれば、90秒くらいで撮影した方が良かったかなと思ってます。

ま、これからが木星、土星の観望好機。勘を取り戻しつつ観測続けていきたいと思います。

明日からあまり天気が良くないみたいですね。今週末は新月期。晴れれば遠征なのですが、ちょっと厳しいかなぁ。

ASI Air Pro がZ7に対応!2021年08月30日

ASI Air Pro の動作確認しようと思ったらFirmware のバージョンアップが走りました。アップデートの内容確認してみると、何と、Z6II / Z7II 対応の文字が!?

手持ちはZ7ですが、確認したところ問題なく接続できました。



Webカメラに比べると、デジイチだとライブビュー画面の取得が出来ない・・・?んですかね??ちょっと使いにくい気もしますが、ま、何はともあれサポートされたのはありがたいです。

ZWOからはASI Air Plusも出てきます。CMOSカメラもそうですが、ZWOから良い製品が続々と出てきますね。(^^)