ステラショット3 ― 2024年02月04日
昨年末リリースされたステラショット3、まずは評価版をダウンロードして色々テスト中です。新機能はこちらなのですが、まず今回は、ZWO カメラに関する追加機能についてご紹介します。確認したバージョンは、3.0d で、2024年2月4日現在最新のビルドです。
私が ASI2600MC を使うようになってから、其れまでずっと使ってきたステラショット2から ASI Air に移行しました。理由はいくつかあったのですが、大きなところはGain値が飛び飛びにしか設定できず、Gain100で撮影が出来ないところでした。(こちら参照)
ステラショット3 では Gain の設定幅が 『1』 となり、Gain 100 も設定できるようになっています。これでまたステラショットに戻れそうな気も。
また、オフセットの設定や冷却関連の細かい設定が出来るようになっています。
オフセットの設定が出来るようになっていますので、逆に改めて、この値に真剣に向き合うことにしました。(^^)
ちなみに、ASI 2600MCのデフォルト値は 『50』です。この時の最小輝度は350程度でした。
ま、本家の ASI Air でもオフセット値は設定できないと思いますし、16bitのASI 2600MC では最小輝度350くらいの下駄は無視できるレベルで、デフォルト値で十分の様な気もしますが、どうせなら、ということで、ステラショット3ではこの値をまずは利用してみようと思います。
いずれにしても、ステラショット3 で ASI カメラの設定が柔軟に対応可能となったことは利用者にとって嬉しいことですね。
CP+ 2024 ― 2024年02月24日
CP+ 2024 行ってきました!
このイベント、参考出品で各社の今後の意気込みが見える点もGood、毎年とても楽しみにしています。そんな私が気になったブースをいくつか紹介します。
まずはVixenブース。今年も参考出品があるとのことで楽しみに訪問してみると、入り口に、VSD70SS とそのレデューサーが展示されていました。共に参考出品です。レデューサーは昨年発売された、兄貴分の、VSD90SSにも対応するとの事。
VSD70SSはVSD90SSと同じ、SD2枚とED1枚を含む5群5枚のレンズ構成で、F5.5、385㎜です。スポットシミュレーションを見る限り、VSD90SS同様、結像性能はかなり高そうです。ちなみに、接眼部は鏡筒部分より太くなっていることがお分かりいただけると思いますが、VSD90SSと共通とのこと。70㎜にしては太目にも思えますが、周辺減光の削減や量産によるコスト削減効果にとって良い選択かなと思います。
ちなみに、鏡筒が短いため、鏡筒バンドとアリガタが組み込まれた構成になっています。
参考出品とのことですが完成度は高そうで、このまま製品化されても問題なさそうという印象を受けました。発売は時間の問題かもしれませんね。
私にとっての目玉はVSD90SSにも対応したこのレデューサーVSD Reducer V 0.71x。
VSD90SS対応のレデューサーは、現時点では、旧VSD100F3.8のもので、x0.79倍、フルサイズで利用すると周辺ケラレが大きいものでした。主焦点の性能が良いだけに、
『これはちょっといだたけないなぁ・・・、専用のレデューサー出てこないのかな?』
と思っていたところに、ついに出てきた、という感じです。VSD90SSとの組み合わせでは、351㎜ の F3.9 まで明るくなって、周辺光量は85%、かつ結像性能もかなり高そうです。
これは・・・、懐的に結構ヤバそうなものを見てしまいました。(笑)
ちなみに・・・、VSD70SSの競合となりそうなモデルが、サイトロンのブースに 『参考出品』 されていました。口径75㎜ F5 のこちらです。
SD・EDを使用した6群6枚構成で、スポットシミュレーションで見る限り結像性能は非の打ち所がない印象です。視野中心のストレール強度も、何と99.2!眼視性能も極めて高そうです。
ま、温度順応性などもありますので、7.5cm かつ 6枚レンズのこの望遠鏡を眼視で楽しむ人がどのくらいいるのかは正直微妙だと思いますが、中央がシャープであることは望遠鏡の重要な性能の一つだと思います。そういった意味で、単に平坦性とイメージサークルの広さだけではなく、中央のシャープさは大いに競って欲しいポイントだと思います。
さて、この望遠鏡の架台ですが、ウェイトが無いですよね。そう、私も大注目の、波動歯車タイプの赤道儀です。こちらに関しては次回ご紹介したいと思います。(^^)
CP+ 2024 その2 ― 2024年02月25日
口径65㎜で、F5.5の360㎜。SDとEDを1枚ずつ含んだ4群4枚の光学系でイメージサークルは44㎜。面白いことに、フォーカサーが対物移動式となっています。動画はこちら。ドローチューブの繰り出しを無くすことで重いカメラを接続してもたわまないことを目的に開発した、とのことです。実は隣には通常のドローチューブが繰り出されるモデルも展示されていました。最終的には、対物移動方式になるとのことです。既に発売されているFL55SS は、結像性能の割に接眼部が華奢という評価も散見されましたので、それを克服するという意味では意欲作なのかもしれません。
この望遠鏡ですが、
『写真撮影に特化した鏡筒』
とある通り、スポットシミュレーションや周辺減光を見る限り結像性能は結構良さそうに思います。中央部もシャープそうなので、眼視性能もそれなりに良いのではないでしょうか。
対応するレデューサーも展示されていました。主焦点の 360㎜ F5.5 がレデューサーを付けると、288㎜ のF4.4 (x0.8)となります。
ぱっと見、
『口径小さいな・・・』
と思いました。VSD70SSの大きなレデューサーを見た後だけに尚更。
その為でしょうか、イメージサークルは 30mm で APS-C までの対応。APS-Cであれば、周辺光量は95%以上ある様です。
この辺りは、口径や焦点距離がVSD70SSと近いため、フルサイズ周辺でも最高の星像と光量が必要な人はVSD70SSを買ってね、ということなのかもしれません。
APS-C対応とはなっているものの、スポットシミュレーションを見る限り、フルサイズ対応の FL55SS+レデューサーと比較しても周辺が極端に悪いとも思えませんので、光量の問題だけかなと思います。実際、Vixenのサイトには ASI 6200MMで撮影した時の写真が掲載されています。フラット補正必須でしょうが、個人的には星像は十分利用範囲かなと思います。
VSD70SS、SDP65SS、どのくらいの価格で出てくるのでしょうね。
この辺りの屈折望遠鏡は Askar や William Optics のRed Cat、最近だと ZWO も参入して多くの製品が投入され、激しいバトルが繰り広げられています。
どちらかというと後発の Vixen が『後出しじゃんけん』 のメリットを享受できるか。製品開発側は大変でしょうが、買う側としては選択肢が増えることは喜ばしいことですね。(^^)
その他、ビクセンサイトで気になったものを下記します。
参考出品の、口径72㎜で焦点距離432㎜のF6。SDレンズを利用した望遠鏡です。写真を撮り忘れたのと、サイトにも記載されていませんが、恐らく1群2枚の眼視用の望遠鏡だと思います。ビクセンの製品には珍しく、デュアルスピードフォーカサーも標準装備されています。このあたりからも眼視メインの製品コンセプトであることがうかがえます。
撮影用にはAPS-C対応のレデューサーも準備されています。
1群2枚のSDレンズを使ったビクセンの望遠鏡では、F7.7で 81mm、103㎜、115㎜ がラインナップされていますが、こちらはF6でかなり短焦点。口径が小さくなると収差も少なくなると理解していますが、眼視性能はどんなものなのでしょうね。
しかも、製品名に付けられている、SDE72SSの、『E』が気になります。
Super Extra-Low Dispersion Optics
との事なので、Extra-Lowの頭文字『E』なのかな...と思ってますが。この辺りは今度ビクセンの方に聴いてみたいと思います。(^^)
ガイド用の 1/3 インチCMOSカメラです。こちらは既に発売されています。
イメージセンサーは、IMX225。中国製のモデルが沢山出回る中、ビクセン製品で出てきたのに驚き、
『まさか自社製じゃないですよね?』
と質問したところ、やはり、他社製だそうです。なぜわざわざこの商品を製品化したかというと、昨年発売した、接眼部が取り外せる暗視野ファインダーIIで、接眼部からこのオートガイダーに取り替えてもフォーカス位置が大きく変わらない様にバックフォーカスの合うカメラが必要との判断からだそうです。確かにフォーカス位置が変わると面倒ですよね。
ま、撮影メインであれば、そもそもファインダーは必要ないのでオートガイダー専用に合わせておけばよいとの考えもありますが、そうすると、暗視野ファインダーIIは不要。という堂々巡りになる。(笑)
このカメラに対応するオートガイドソフト、『Vixen Autoguider』 も展示されていました。
メインカメラの操作には対応しておらず、オートガイダー用のソフトだそうです。このオートガイダー他のソフトにも対応しているのでしょうかね?そのあたりの互換性は気になるところです。
カメラ接続側は48㎜で、裏側はM56のアクセサリー接続用のネジが切ってあります。コレクターph などが接続できる様です。恐らくこの辺りを使えば、M48やM52のフィルターを取り付けることもできるのではと思います。
バックフォーカスを合わせるための延長筒は別途カメラごとに必要になります。この辺りがいつも悩みの種ですが。
色々出てくるようで楽しみですね。
個人的には、最近屈折ばかり、ε160EDの様な驚異的な性能を持つ反射にも出てきて欲しいですが。(笑)
CP+ 2024 その3 ― 2024年02月26日
サイトロンのサイトには面白そうな参考出品が目白押し。ただ、サイトロンの方曰く、
『Skywatcher から直前になって色々送られてきましたが、中身は全く分かりません』
との事。(笑)
・SR2-001(参考出品)
SDとEDガラスを使用した6群6枚、口径75㎜ F5の屈折望遠鏡です。
最初から6枚のレンズを組み込んだ望遠鏡って凄いですね。もはや望遠レンズの様ですが、その性能が凄くて、スポット径が、フルサイズの周辺で何と1.31μm。回折限界以下と文句のつけようがない性能です。
ストレール比も99.2%とのことで眼視性能も相当期待できそう。ま、6枚レンズの望遠鏡を眼視で使う方はそう多くはないとは思いますが・・・。
明るい光学系好きな私はどうしても気になる、レデューサーについても聞いてみましたが、やはりまだわからないとの事。
この望遠鏡、天文ガイド3月号の裏表紙にも掲載されていました。サイトロンは新潟県の胎内市の工場で天体望遠鏡の製造を開始するとのこと。そのフラグシップ機としてこちらが登場するようです。
まだプロトタイプっぽいので製品化にはもう少し時間がかかりそうな気がしました。
でも楽しみな製品です。
・SJX赤道儀(参考出品)
上の写真の架台がこのSJX赤道儀です。私も購入を検討している波動歯車タイプの赤道儀です。サイトロンからも出てくるようです。
・本体重量:10kg
・搭載重量:20㎏(カウンターウェイト搭載時)
との事。ZWO の AM5 や CRUX 170HD クラスですが、本体重量がこちらの2製品は共に5kg 程度なのでこのSJXに関しては、本体の重量がちょっと重いかなと思います。ま、未だ参考出品ですし、
『仕様は予告なく変更となる場合があります』
との事なので、大型の反射望遠鏡を乗せたい私としては、本体重量はそのままで、搭載重量が40㎏くらいまで増えてくれることを期待します。(笑)
以下サイトロン取り扱いのSkywatcherの参考出品です。
・HAZ6マウント(参考出品)
赤道儀と経緯台マウントに対応した架台です。展示では25cmのニュートンが乗ってました。
最大積載量は経緯台が30kg、赤道儀が20㎏とのこと。片手フォーク型ということになりますね。不動点が通常の赤道儀よりかなり低いので、ドブソニアン望遠鏡を乗せたりするのに良いかな?と思いました。望遠鏡に触ってみましたが、やはりブレは大きいですねこの辺りの剛性を実現するのは簡易型では難しいかもしれません。ただ、使い方によっては面白そうです。個人的には結構注目しています。
・HAC125(参考出品)
RASAを彷彿させる主焦点撮影専用の望遠鏡です。
分かっているのは、
『250㎜ F2.0 の撮影専用望遠鏡であること』
です。サイトロンの方も全く不明で、光軸もまだ全然合っていないとの事でした。(笑)
カメラをちょっと外してみましたが、31.7㎜径でしょうかね、ただ、確かにユルユル。
ま、しかし、シュミットカメラ系でこういったものに参入しようとしている事は素直に評価したいと思います。セレストロンも入手が困難なモデルも多いですからね。猛烈に明るいですし楽しみです。
・Sun76(参考出品)
Hα望遠鏡です。太陽のプロミネンス観測などを行う望遠鏡です。こんなものまで手掛けているとは・・・、これは驚きました。
有名どころでは、コロナドやラントが手掛けているHα望遠鏡のSkywatcher版ということになるのでしょうかね。望遠鏡中央にティルトを調整するレバーがありますので、恐らくメインフィルターは筒の先ではなく、望遠鏡内部に搭載されている・・・、と想像しています。
ちょっと気になったので接眼部分を取ってみました。下の写真が恐らくブロッキングフィルターだと思います。サイトロンのブースではセミナーも開催されていましたが、その中でこの太陽望遠鏡で撮影した写真も出てきました。そういった意味で、参考出品ですが、製品化される可能性は高いのかなと思います。
自社開発のフラグシップ望遠鏡や Skywatcher の参考出品。面白い製品が目白押しです。
サイトロンのこれからの動向、注目です!
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