シリウスB 動画で綺麗分離しました ― 2023年02月28日
昨日気流の状態が良かったのでシリウスBの観望を行いました。目的は眼視で見ること。
残念ながら眼視ではシリウスBの存在は良くわかりませんでしたが、同じ接眼レンズをPentaxQで覗く『コリメート法』では綺麗に分離されていて驚きました。
望遠鏡:R200SS
バローレンズ:Televue x3バロー
接眼レンズ:Televue Nagler 7mm
カメラ:PentaxQ + 8.5mm F1.9 コリメート法
合成f:2,914mm
結構難物だと思いますが、気流の良い日には思いのほか良く見えますね。
次こそ自身の目で見ることにチャレンジしたいと思います。
高ソメキャンプ場 その2 ― 2022年05月07日
ASI Air ライブスタック ― 2022年05月06日
高ソメキャンプ場で楽しんだASI Air のライブスタックの結果を画像処理してみました。と言っても既にスタックしてありますし、今回はモノクロなのでそんなに大したことはやっていないのですが。(^^)
こんな感じです。
望遠鏡:R200SS
カメラ:ASI 2900MM(モノクロ)
Gain:150
露出:30秒
20枚程度を ASI Air でライブスタックしています。画像処理はステライメージ9です。
オートガイドも無し、お手軽に現地で電子観望を楽しんだ後の写真としては満足です。
良い時代になりましたね。
今回は高ソメキャンプ場という空の暗い場所でしたが、IR850フィルターなどを使えば光害バリバリの我が家からでも同じような銀河の映像が楽しめる・・・、かも。(^^)
こちらはそのうち試してみたいと思います。
電子観望のススメ その3 ― 2020年10月13日
前回の続きです。
惑星状星雲をライブで見る方法です。
必要なのは、少し大きめの20㎝クラスの望遠鏡と、ASI462MCなどの Web カメラ、そしてフィルターです。さらに、Web カメラの画像データを表示させるためのPCが必要になります。PCに関しては、Windows 10前提で進めさせていただきますね。(^^)
まずは、私が行っている電子観望の構成を下記します。
・望遠鏡
R200SS
(必要に応じて、Powermate x2, x4, x5 などのバローレンズ)
・フィルター
IDAS NB1
・カメラ
ASI224MC、ASI462MC、ASI290MM
など望遠鏡の焦点距離によりますが、小さめのイメージセンサーを持ったモデル
・PC
Windows10
・ソフトウェア
FireCapture、Sharpcap、OBS Studio、SparkoCamなど
惑星撮影を行っている方であれば、FireCaptureやShapcapなどを利用されているのではないかと思います。また、ZWOであれば、私は使ったことありませんが、ASI Studio でも同様の事が出来るようです。
単にライブ画面を見るだけであれば、これらのソフトウェアで十分で、ASI のカメラドライバをインストールするだけで画像取得が出来ます。こちらにある中で、Native Driversをインストールすれば画像取得が可能です。
逆に、ASIのリアルタイム表示だけではなく、例えば、iPhone や、ニコン、キヤノンの一眼カメラの画面を取り込んだり、さらにそれらの画面をミックスして、Youtube や Facebook でリアルタイム動画配信をしたい、と言う場合は、OBS Studio や、SparkoCam(有償)を使うと良いと思います。
これらのアプリケーションを使う場合は、DirectShow Driverが必要となりますので、こちらもインストールしておいてください。そうすると、OBS Studio や、SparkoCamから直接ASIの動画イメージの取得が可能です。
あとは、上記をご要望に応じて組み合わせる感じですね。
例えば、M27ですと、以下の様な条件でライブ画面を十分見ることが出来ると思います。
望遠鏡:R200SS
カメラ:ASI462MC
ソフト:FireCapture
Shutter=18.0s
Gain=420 (70%)
フィルター:IDAS NB-1
ま、勿論すべての環境で見えることを保証するものでは全くありませんが、都会でも十分惑星状星雲を楽しむことが出来ます。
私の環境だと、どうもFireCaptureのライブスタックがErrorでうまくいきませんので、基本ライブ画面で楽しんでますが十分楽しめると思います。
是非お試しいただければと思います。
ちなみに、電子観望の後、上記の条件で撮影したのがこの写真です。
電子観望の趣旨からはちょっと外れますが、惑星状星雲の撮影に関していうと、わざわざ条件の良い所に遠征しなくても良い時代になったのかなぁと思います。
電子観望のススメその2 ― 2020年10月12日
前回の続きです。
電子観望の目的(メリット)はいろいろあると思います。
1. 眼視では見えないものを見る(特に光害のあるところで)
2. みんなで同時に楽しむ
3. コロナ禍でも望遠鏡に触れず観望会の開催が可能
などですね。
今回は1のメリットについて書いてみたいと思います。何故眼視よりも良く見えるのか、というと、ポイントは2つあると考えています。
1つ目のポイントは、カメラの特性です。
人間の目はとてもよく出来ていると思います。例えば木星の眼視観望って、かなり詳細に表面の模様を確認することが出来ます。でも、それと同じレベルの物を、カメラの1枚撮りで撮影することは、実は相当に難しいです。
私は惑星撮影も行いますが、動画で撮影してそこから数千枚の静止画をスタックして、さらに画像処理で細かい模様を炙り出して1枚の写真に仕上げていきます。
そうすると1枚撮りでは到底できない様な素晴らしい写真に仕上がります。
つまり、カメラは1枚撮りでは眼視にはかなわないのですが、眼視にはできない 『色んな小細工』 が出来るわけです。
また、眼視と比べた時のカメラの最大のメリットは、光をため込めることです。こういった特性を持つカメラを使う事、これらが電子観望のメリットの1つ目です。
2つ目のポイントはフィルターです。
観望対象は、ものによって、特定の波長で輝いているものがあります。例えばオリオン大星雲や干潟星雲、わし星雲などの散光星雲は、波長656.3nmのHαが非常に強く、M57リング星雲、M27アレイ星雲などの惑星状星雲は、上記 Hα と OIII (496nmおよび501nm) が非常に強く出ます。
つまり、これらの対象をに対しては、HαとOIIIのみ透過するフィルターを使っても対象の光はほぼロスなく通過することになります。
逆に、こちら(外部サイトです)に詳しく書かれていますが、いわゆる光害は、Hg 線やナトリウム線、白色LEDによる波長が多く含まれます。
これらの光害の波長を透過せず、Hα と OIII のみ透過するフィルターを使えば、相対的にこれらの星雲が浮き上がってくるはず。
こういった特定の波長のみを透過するフィルターは以前からあったのですが、多くが Hα のみ、や、OIII のみなど、シングルバンドパスフィルターになっていて、カラーバランスが大きく崩れるんですね。
ところが最近、HαとOIIIを2つ同時に通すデュアルバンドパスフィルターが登場し、カラーバランスも調整可能となりました。
私は実はまだ、この方法を惑星状星雲でしか試したことがありません。なので、まずは、惑星状星雲限定で書かせていただきますね。(^^)
散光星雲でも効果はかなり高いハズですが、こちらはまた後日確認したいと思います。
ちなみに、恒星やそれが集まった散開星団、球状星団、系外銀河などは幅広いスペクトルで輝いているためフィルターの効果は惑星状星雲ほど高くないと思われます。
惑星状星雲に対し電子観望を行う具体的な方法は以下の通りです。
・利用する望遠鏡
暗い小さな対象を観望します。小さいものを拡大すると暗くなりますし、かつ、きつめのフィルターで光量がかなり落ちますので、出来るだけ口径は大きい方が良いと思います。私はR200SS使ってますが、20㎝あれば十分楽しめます。
・利用するカメラ
最近だと、ZWOが良いと思います。使う望遠鏡にもよりますが、小さい対象が多いので、ASI462MCなど、1/3くらいの小さなイメージセンサーのものを選択するのが良いと思います。
ちなみに、R200SSの800㎜で、ASI462MCを使うと、フルサイズ換算で5500㎜ほどになりますので、M27だとかなり大きく撮影することが出来ます。
その他、M57など小さな対象のものには、Powermate等の拡大レンズを利用します。
長焦点のシュミカセなどを所有されている方であれば、ASI385など、もう少し大きめのセンサーのモデルを購入されても良いかもしれません。
・フィルター
デュアルパスバンドフィルターを使います。私はIDASのNB1を使ってます。同様のフィルターではQBPフィルターや、IDASからもさらに色々出てまして、NB2、その後継のNB4、さらに、近々でNBXというフィルターも登場するようです。
ご紹介したフィルターは複数の径のものが準備されていますので、ご自身の望遠鏡にあったフィルター径のものを選択すればよいと思います。
望遠鏡によってはフィルターを固定する場所がないケースもあると思いますが、その場合は、ZWOのこのアダプターの中にM48のフィルターが入りますので、こちらを選択するのも良いと思います。アダプターはニコン、キヤノンしかないようです。ちなみに、フィルターサイズは48㎜ですが、アダプターの径としては52㎜も入りますので、カメラの48㎜ → 52㎜のステップアップリングを使えば、52㎜のフィルターを入れることも出来ます。
では、次回は具体的な観望方法についてご説明します。光害の地域で、こんなものをライブで見ることを目標にします。
電子観望のススメ ― 2020年10月10日
今日は台風で雨。電子観望について書いてみたいと思います。
電子観望。簡単に言うと、望遠鏡を目で覗くのではなく、カメラで撮影し、その映像を見て楽しむ方法です。最近は海外のメーカーからそれ専用に設計された製品も登場してきました。
電子観望が登場したのは私の記憶では5年前の2015年くらいでしょうか。出てきた当初私はかなり懐疑的でした。
『望遠鏡は目で覗くもの』
という意識が強かったためです。星のソムリエとして観望会などにスタッフとして参加する際も、やっぱり、望遠鏡は目で覗いて欲しい。電子デバイスで見る『映像』ならわざわざ観望会に参加いただく必要はないのでは?
そういう意識が強くありました。
ただ、最近その考えは今、自分の中では大きく変わってきました。以下の影響が大きいと思います。
・ASI224MCや462MCで惑星撮影するようになった
・ライブスタックなど画像処理技術の飛躍的進歩
・デュアルナローバンドフィルターの登場
・実際やってみると腰を抜かすほど凄い
超高感度、低ノイズのCMOSとデジタルの画像処理技術の飛躍的進歩でアマチュアレベルの望遠鏡でも物凄い惑星写真が撮れるようになりました。
さらに、最近登場したOIIIとHαを選択的に通す、カラーCMOS用のデュアルナローバンドフィルター。IDASのNB1やQBPなどが有名ですが、これがまた凄い。
OIIIとHαで輝く惑星状星雲に使うと光害のある環境でもはっきりその模様まで見ることができます。夜空の暗いところに遠征して眼視する遥かに良く見える。。。
こんな凄いものを使わない手はない!!
でも、観望会で電子観望を提案すると、まだまだ否定的な意見が出てきます。
よくよく観察していると、否定的な意見を出す方は多くが古くからの天文ファンで、最近のデバイスには疎い方(良さが良くわかってない方)が多い気がします。観望会をたくさんやってきた立派な方も多いのですけどね。
ま、勿論そういった旧来の観望会を否定するものではありませんが、良いものであれば自分自身がしっかりキャッチアップして、どんどん取り入れて提案・実施していく必要があると思います。
今はコロナでなかなか観望会も思うように実施できません。
そういった中、望遠鏡を覗かず自身のスマホで見ることが出来たりすると感染防止にもなりますしね。勿論、ご自身で楽しむにも凄く良いものだと思ってます。
↓これ、光害バリバリの自宅からのNGC2392のライブの画面なんですよ。
すごいと思いませんか?
NGC2392は空の暗い条件の良い場所で何度も眼視していますが、こんなにはっきり模様が見えたことはありません。私が自宅で試してみて、初めてこの映像を見た時には本当に衝撃を受けました。
今はこんな事が出来るんです。楽しまない手はないですよね。
ということで、これから何回かに分けで、電子観望の魅力とその方法について書いていきたいと思います。
電子観望のスマホ配信 ― 2020年10月05日
今日も曇天。ということで、また機材の話。ただ、今回は、ちょっとパソコン寄りのお話です。
以前、eVscope について書きました。この製品、電子観望専用ですが、単に電子ビューファインダーを覗くだけではなく、その画像を最大5台のスマホにシェアできるらしいのです。
これを、普通の望遠鏡とPCで実現する方法について書いてみたいと思います。
星空観望会で電子観望のデータを参加者のスマホに配信出来れば盛り上がりそうですよね。ということで。(^^)
ベースはこちら(外部サイトへのリンクです)の方法を利用します。技術的には、ZWOなどのWebカメラのデータをPC経由でスマホにストリーミング配信する感じです。
配信側
PC:Windows10
カメラ:ASI462MC
Driver:通常のASIデバイスドライバーとDirectShowDriver
Software:OBS Studio
受信側
スマホ:VLC (iPhone / Android)
※DirectShowDriverはOBSからWebカメラとして直接ZWOの画像データを取得する場合に必要となります。その他の方法として、FirecaptureでまずZWOの画面取得を行い、そのFirecaptureの画面をOBSでシェアする場合にはこのドライバーは必要ありません。
なお、OBSとVLCの設定は基本的に上記した外部リンクの方法大丈夫なのですが、配信先がスマホの場合はマルチキャストで配信する必要があるみたいです。
192.168.x.xなどの通常のユニキャスト設定だとスマホ側から閲覧できませんので、リンクに書いてある 239.1.1.5などのマルチキャストアドレスをOBSのURLでご利用ください。
コロナ禍で実施する観望会。
望遠鏡覗いてもらうのもちょっと気が引けますよね。
そんな時に、スマホでシェア出来たら参加者も、スタッフも安心ですし、コリメート撮影しなくても、スクショで天体写真が撮れてしまうってちょっとCool?(^^)
楽しそうなので、私もいつか観望会で試してみたいと思います。
エスキモー星雲の電子観望 ― 2019年12月25日
12/23に撮影したNGC2392、通称エスキモー星雲です。場所は、ふたご座で、弟カストルの右腕のあたりにあります。
望遠鏡を使って見るとフードを被ったエスキモーのように見えることからその名前がついています。太陽と同じくらいの質量の星が寿命が尽きてガスを放出。そのガスがこの様に見えています。
この様な星雲は、惑星状星雲に分類されますが、夜空には、沢山の惑星状星雲が存在し、その見え方は、リング、鉄アレイ、シャボン玉、ふくろう、神の目!などなど、どれも非常に個性的で、私の大好きな対象の一つです。
エスキモー星雲も大好きで、良く望遠鏡で観ています。100倍くらいの倍率で見ると恒星とは違った大きさを持った天体であることが分かります。ただ、惑星状星雲の中では非常に小さいので、この写真のように模様まで見ることはなかなか難しいです。
実はこの対象、今年3月に上川村の50㎝の巨大な望遠鏡でも観望しました。さすがは暗い夜空と巨大望遠鏡!エスキモーの様な模様がハッキリと観察出来ました。皆さんもそのような機会があったら是非見てみて下さい。
今回は、自宅から電子観望と撮影を楽しみました。私の自宅は神奈川県でご多分に漏れず光害の多い場所ですが、電子観望ではライブで、はっきりエスキモーの姿を確認することができました。
私が子供の頃には考えられなかったことが簡単にできます。本当に凄い時代ですね。
望遠鏡:R200SS+エクステンダーPH(fl:1,120mm)
フィルター:NB-1
カメラ:ZWO ASI224MC
露出:6.00秒
ゲイン:452 (75%)
画像処理:100枚をダーク減算の後、AS!3でスタック。SIで画像処理。
ライブ画像
画像処理後の写真
最近のコメント