Pentax Q 拡大率その12013年01月04日

前回、惑星撮影には、200倍以上の倍率が好ましいとお伝え致しました。
今日はその拡大率をどう実現するかを考えてみます。

 ※もし、ご覧になってない方、いらっしゃいましたら、1/3のブログをご確認下さい

例えば、望遠鏡を目で覗く場合、対物レンズの焦点距離を、接眼レンズの焦点距離で割った値が倍率ですよね、つまり、

倍率 = 対物レンズの焦点距離/接眼レンズの焦点距離

です。

上記は、対物レンズ + 接眼レンズによる拡大方法なのですが、撮影を考えて・・・、対物レンズのみで200倍の画角を実現するためには、標準レンズの200倍の焦点距離を持つ望遠鏡を準備する必要があります。

例えば、各サイズの標準レンズは、おおよそ以下の通りですが、

・35mmフルサイズ  50mm
・APS-C         30mm
・Pentax Q       8.5mm

それぞれのカメラで、200倍を実現するための対物レンズの焦点距離は、

・35mmフルサイズ  50mm×200 = 10,000 mm
・APS-C         30mm×200 =  6,000 mm
・Pentax Q       8.5mm×200 =  1,700 mm

となります。

計算上は上記の通りなのですが、どうでしょう、実現できそうな数字として。

再度、我が家のR200SSの800mmの焦点距離ベースで考えてみるると、1700mmであれば、2倍程度のバローレンズを使うだけで実現できそうですが、6000mmだと、7倍以上、10,000mmに至っては、12倍以上に引き延ばす必要があります。

高品質のバローレンズを提供しているテレビューでも、最大は5倍ですので我が家のR200SSでは、1700mm以外はちょっと無理そうですよね。つまり、APS-Cとフルサイズでは、直焦点での惑星撮影は拡大率を稼げないため、難しそうということになりそうです。

上記の違いは撮像素子の大きさの違いからくるのですが、惑星撮影には、小さな撮像素子が有利と言われているのは、このような点があるのです。

私が惑星撮影用としてPentax Qに注目した第一の点はこの辺りです。
勿論他にも要素はありますので、そのあたりは追々・・・。

ちなみに、デジタル画像処理技術と相まって高画質の惑星撮影を可能としたToUcamの撮像素子をPentax Qと比較すると、

 ToUcam Pro 4.60mm×3.97mm
 Pentax Q     6.20mm ×4.60mm

です。ToUcamはPentaxQより、さらに拡大率が稼げるということになります。
ただ、ToUcamはもはや手に入らないですからね・・・。

今回は、200倍という拡大率を直焦点(対物レンズのみ)で実現する方法とその可能性について示しました。次回は、いくつかある撮影方法について特徴をご説明したいと思います。

FS-60Q2013年01月04日

もう2ヶ月ほど前になるのですが、FS-60Q購入しました。高橋製作所80周年を記念したアニバーサリーモデルで、青色です。我が家では、Vixen R200SS、Borg 77EDⅡに続き、3本目の鏡筒となります。

FS-60Q


2012.11.14ケアンズでの皆既日食観測用に購入したのですが、この望遠鏡、口径6cmとは思えないほどよく見えます。とにかく色収差が少なく、コントラストが高いです。反射望遠鏡と供に天体歴を重ねてきた私にとって、屈折望遠鏡の”若干黄色く着色された月”は気持ちの悪い物だったのですが、この望遠鏡にはそのあたりが全く感じられません。まだ使い込んだわけではないのですが、150倍程度に上げて木星を観測しても全く像は破綻しません(勿論集光力不足のため暗くはなります)。

惜しいのは、接眼部の内径(薄緑色の部分)が、2インチアイピースより小さい点です。接眼部のパーツ(黒い部分)を2インチ対応の物に組み替えることにより、Nikon NAV-17HWで合焦可能なことを確認しましたが、手持ちの2インチのダイアゴナルを入れるとピントが出ません。この望遠鏡で2インチアイピースを利用しようとするとかなり制約がありそうです。

なお、この薄緑色の接眼部は、FC-76DCと共通のパーツとなっているようです。

断面はこんな感じです。この内径が49mmで、2インチ(50.8mm径)のダイアゴナルが差し込めません。もう少し大きければ、ピントが出そうな気がするのですが。