接眼レンズ その62013年08月09日

胎内星祭りで体験した見かけ視界100度の驚愕の世界。帰宅後、早速調べ始めます。

この時初めてNAV-HWと比較されていたイーソスなる接眼レンズが、有名なテレビュー製であることを知りました。

もし、このテレビューのページが単なる製品紹介のページであったのなら、私がこの手の広視界、そして高額の・・・、接眼レンズの世界に踏み込むことは無かったと思います。今思ってみれば、これらの接眼レンズに出会えて本当に良かったと思います。星を見る楽しみと素晴らしい星像に出会えたときの感動が格段に大きくなりました。

勿論、お財布に痛かったことは言うまでもありません・・・。

http://www.tvj.co.jp/10shop_televue/0006ethos.html

テレビューのサイトには接眼レンズに対する様々な考察が書かれていますが、特に私にとって目からウロコだったのが以下の記述です。

”星野、散開星団、球状星団、星雲、銀河などのディープスカイ観望には、(途中略)、その対象を囲むことのできる最も高い倍率を選んでください。射出瞳径が最小になることで背景がより暗くなり、一定の明るさで輝く恒星のコントラストが向上し、倍率が上がったことで広がりのある対象の詳細が浮き出てきます。”

この記述は、本当に驚きでした。
広い視界には倍率は邪魔者であり、広い視界=倍率を下げることと考えてました。

しかしながら、射出瞳径が小さくなることによるコントラストの向上、という記述には私自身、うなずける経験があります。

中学時代に経験していた、10cm反射望遠鏡+OR40mmの25倍と、R200SS+NLV22mmで経験していたバック(夜空)の明るさです。当時は広視界なんてそんなもんだろうと思ってましたが、それが大きな間違いだったんだと、この時初めて気がつきました。

これは本当に大きな発見でした。

・・・、そうなると、暗い星空で、この広視界アイピースを使うとさぞかしすごい物が見えるのではないかと思ってしまったわけで、早速NAV-HWが良いのか、Ethosが良いのかの検討に入ってしまいました。

そうは言っても9万円ほどもする接眼レンズ、2万円程度の接眼レンズもなかなか買えない私にとって、そう簡単には購入に踏み切れません。買うべきか、買わざるべきか、NAV-HW発売後、悶々と悩むことになります。

結論から申し上げると、この後再び清水の舞台から飛び降りることになります。
長くなりましたので、次回ということで。

接眼レンズ その52013年02月20日

R200SSとLV2.5mm/ NLV4mm/ NLV10mm/ LVW22mmで観測を始め、この望遠鏡ではこんな感じに見えるんだ、これ以上見るためには望遠鏡を変えないといけないんだと思い始めた頃、大きな転機が訪れます。きっかけは、2010年に初めて参加した胎内星祭りです。そこで、こんな物を見つけてしまいます。
 
NAV
 ※ニコンビジョン http://www.nikonvision.co.jp/products/dl/catalogue/nav-nav.pdf

当時、ニコンが接眼レンズで天体望遠鏡の市場に復帰したことは知ってましたが、それは見かけ視界72度のSWシリーズ。これは102度ということで、SWとは違うようです。そももそ広視界接眼レンズをLVWの65度程度でしか理解していなかった私にとって、この102度という数字自体、異次元で理解不能です。

”えっっ、ひゃっ、ひゃくにど?、102度?、102度・・・”

何度もつぶやいていると、ニコンビジョンブース担当の方が、よろしければ資料お持ち下さいとのこと。

”こっ、これ、未発売ですよね?、値段は?”

との無理な問いかけに、価格は申し上げられませんが、対抗は意識していますよ、とのこと。対抗って?そんな接眼レンズがあったのか??

凄いものがあったもんだ、と感心しながら他のブースを見学していると、

”イーソスとニコンの新しいアイピースの見比べやりまーす“

とのこと。行ってみると、2台のTOA130にそれぞれイーソスとNAV-HWがセットされており、早速覗かせてもらいました。周辺像は・・・、とか、中心像は・・・、などと周りでは比較論に花が咲いていますが、両者とも一度では見渡しきれない見かけ視界の広さと、TOAの光学性能も相まった素晴らしい星像。私にとって全く経験のしたことがない驚愕の世界でした。

そのようなすごい体験をして、初参加の胎内星祭りは終了しました。

そして、その熱冷めやらぬ同年10月、上記ニコンのNAV-HWが発売になります。注目の価格は売値で9万円程度。2万数千円のLVW22mm購入の際、清水の舞台から飛び降りた私にとってもはや接眼レンズの値段ではありません。

ははは、買えないね。

その一言で片付いてしまいました。・・・、しかしそれでは終わらないんですよね。ということで、また次回。

接眼レンズ その42013年02月16日

R200SS購入とほぼ同時に以下の接眼レンズも購入しました。

ビクセン : LVW22mm アメリカンサイズ
 
LVW22mm

K20mmがR200SSでは眼視にも耐えないことが分かりましたので、低倍率側の接眼レンズとして購入しました。R200SSと組み合わせると36倍となります。当時、接眼レンズと言えば1万数千円のNLV/LVでしたが、このレンズは2万数千円とほぼ倍。

 ”こんな高い物を購入して良いのか?”

実物を手にしたまま売り場でかなり悩みましたが、”清水の舞台から飛び降りる”くらいの覚悟で購入しました。
 
ちなみに、この数年後、たびたび清水の舞台から飛び降りることになりますが、それはまた後ほど・・・。
 
R200SSと組み合わせた時の実視界1.79は、手持ちの31.7mm径としては最大で、レンズの大きさも手頃なため非常に使い勝手が良く、望遠鏡のアラインメント調整や、星雲、星団の観測、月の観測に利用しています。
 
K20mmでは見るに堪えなかった200SSとの組み合わせにおいても、眼視で星空を見ている限りでは収差も気にはなりません(よく見ると周辺はコマ収差が結構出ているのですけど)。低倍率側ですので解像度の評価は出来ませんが、基本的には良くできたレンズだと思います。
 
ただ、条件の良い暗い夜空でR200SSと組み合わせると、倍率が低すぎるためバックの夜空が明るくなってコントラストが落ちてしまいます。勿論これはこの接眼レンズ自体の問題ではなく、R200SSとの組み合わせによる倍率の低さ(瞳径5.5mm)による物です。

実はこの”バックの明るさ”に関しては、中学時代に10cmの反射望遠鏡+Or40mmでも経験していたので、広視界を得るための低倍率とはこんな物なのだろうと思ってました。それが大きな誤解であることは後ほど知ることになりますが、LVW22mm購入当初は星雲星団をこのレンズで堪能していました。また、元々光害の多い自宅周辺では問題のバックの明るさも気にならないため、今でも自宅でのお気軽観測では、星雲星団に良く利用していますし、エクステンダーを入れた68倍で月の全景をよく観測しています。このレンズで見る月はとても美しいです。接眼レンズの選択肢が増えた今でも何かと登場機会の多いレンズです。

ビクセン : NLV10mm アメリカンサイズ
 
NLV10mm

NLV4mmとLVW22mmの間を埋めるために購入したレンズです。見かけ視界は50度と広くはありませんが、80倍、エクステンダー付きで150倍と適度な倍率が得られるため、LVWで倍率が足りない場合に利用しています。対象は月や惑星状星雲、球状星団あたりで、適度な倍率が得られるため、購入当初は特によく利用していたレンズです。

ただ、この接眼レンズ、おそらく私が所有するレンズ個体の問題と思われる点が二つあります。

・フィルター取り付けのネジ山がキチンと切られていない
  ムーングラスが途中までしかねじ込めず使えません。これ、結構痛恨で、せっかく月観測に適度な倍率が得られるのに眩しくって、辛いです。ということで、この倍率での月観測は、LVW22mm+ムーングラス+エクステンダーにその座を譲っています。
 
・変な色付きがある
  R200SSとの組み合わせでは長い間気付かなかったのですが、Borg77EDⅡと組み合わせて月を見てみると、妙に青白く、しかも月の周りに青い縁取りが出ます。これは他の接眼レンズとは全く異なる傾向です。


色付きに関しては何度も繰り返して確認したわけではないのでもしかすると、見間違い・・・という可能性も否定できませんが、ムーングラスの事もあるので、このレンズに関してはハズレを引いてしまったと思っています。中心像はそれほど問題がないようですので、現在でもそれなりに利用はしていますが、見かけ視界50度、80倍というのは、手持ちのレンズの中では133倍のEthosより実視界が狭いので、存在価値がかなり薄くなってるレンズです。そのうち、この焦点距離は、広視界接眼レンズと置き換えることを検討中です。

接眼レンズ その32013年02月09日

中学生時代に使っていた接眼レンズが、R200SSであまり利用できないことが分かってきましたので、接眼レンズの購入となりました。F4という単焦点反射ですので、焦点距離は短めの物が多いですが、ご紹介したいと思います。

R200SS購入当時は、火星の接近時期だったため、NLV4mmやLV2.5mmなどを使って複雑な火星の模様を食い入るように見つめていた記憶が今でも鮮明に残っています。

真冬でしたので、嫁さんから

”良くこんな寒い中何時間も火星ばかり見てられるねぇ”

と揶揄されながら・・・。(笑)


ビクセン : LV2.5mm アメリカンサイズ
 
LV2.5


今後巨大な接眼レンズをご紹介することになるので、横に単一電池を並べています。

単焦点反射で高倍率を得るためには、とにかく焦点距離の短い接眼レンズ!ということで、購入した物です。アイレリーフが長いため、上部に長く伸びたゴムがあります。眼鏡をかけたまま観測する場合は、この部分を折り返して使います。R200SSと組み合わせると倍率が320倍となるため期待して購入したのですが、非常に像が甘い印象です。ピントの山がない・・・、と言うか、ちょっと表現は適切ではないかも知れませんが、ピンぼけ写真を見ている感じ、と言うか。

このレンズ単体で見るのであれば、エクステンダー+NLV4mmの375倍の方がまだ良く見えるので、購入当初こそそれなりに使っていましたが、最近は全く利用しなくなってしまいました。

ちなみについ最近、手持ちの接眼レンズの見比べ(エクステンダーとの組み合わせ含む)を行ったのですが、このレンズ単体の木星の見え味は他のレンズ+エクステンダーやバローの組み合わせにかなり劣る感じでして、やはり駄目かという感じでした。アイレリーフが長いので覗きやすいのですけどね。そもそもF4との組み合わせがNGなのかも知れません。ということで、残念ながら最近はほとんど使っていません。

ビクセン : NLV4mm アメリカンサイズ
 
NLV4mm



R200SSと組み合わせると200倍になります。惑星をまず観測するためには適度な倍率が得られるため、惑星観測の際にまず利用するのがこの接眼レンズです。アイレリーフが長く、見口がポップアップになっているため覗きやすいです。まず200倍で見て、シーイングが良さそうなときには、エクステンダーを入れて、375倍で観測しています。アイレリーフが長いおかげもあってか、PentaxQを使ったコリメート撮影にも適しています。
R200SS購入時、接近した火星をこのNLVでよく見ていました。また、その後も惑星観測と言えばほぼこの接眼レンズで決まりでした。逆に、このレンズでよく見えない日は、シーイングが悪いのだろうとあきらめてました。ただ、その当時は気付かなかったのですが、今比較してみると、上記LV2.5mmほどではないのですが像は甘めです。そのため、接眼レンズの選択肢が増えた現在では登場機会が少なくなっています。

値段を考えるとそれなりの性能なのかも知れませんが、LV/NLVは高倍率での性能は正直高くないと感じています。もし、これらの接眼レンズを使った惑星観測で、望遠鏡の性能を決めつけている方がいらっしゃったら・・・、もしかするとそれは、接眼レンズを交換すると一皮むける性能を発揮する望遠鏡なのかも知れません。

次回、さらに、R200SS購入当初の接眼レンズのご説明をしたいと思います。

接眼レンズ その22013年02月08日

”接眼レンズ”は、交換をすると倍率が変えられる便利なパーツですよね。もう四半世紀以上前になりますが、私が中学生時代に使用していた接眼レンズは以下に示す物でした。

ミッテンゼー・ハイゲンス : H.M:12.5mm ツァイスサイズ
 
HM12.5

レンズの貼り合わせが無いため太陽観測に向いている、と説明書に記載されていた接眼レンズです。当時購入した望遠鏡は10cmの反射望遠鏡だったのですが黒点観測が面白くて、太陽観測といえばこれでした。最近では全く見かけなくなってしまいましたが、アクロマート系の屈折望遠鏡と組み合わせると色消しが良好と評される方も多いようです。現在は全く利用していませんが、コレクションとして大切に保管しています。

ケルナー : K20mm ツァイスサイズ
 
K20

上記HM同様、望遠鏡購入時に付属していた接眼レンズです。10cm FL:1000mm F10 の反射望遠鏡で倍率50倍でしたので、付属のレンズの中では覗きやすく、当時低倍率=広視界と言えばこのレンズでした。
 当時の良印象を元に、実は、R200SS購入当初も活躍を期待していたのですが、F4は相当厳しかったようで、実際にR200SSに使ってみると、眼視でもちょっとなぁ・・・、という収差(ほとんどがコマ収差だと思いますが)が出てしまい、別途、広視界接眼レンズを購入しなければ、という動機となった物です。こちらも今は全く使っていません。

オルソ : Or5mm ツァイスサイズ
 
Or5mm

こちらも望遠鏡に付属していた物です。オルソというと昔からある接眼レンズですが、未だにその光学性能から特に惑星観測においては人気の衰えないタイプです。
 Orにはプローゼルタイプとアッベタイプがあり、私が所有するこのOrは恐らくプローゼルだと思います。当時、高倍率での惑星観測というと、このOrでした。お年玉を何年も貯めて購入した望遠鏡と、このOrで初めて見た土星は今でも心に残ってます。
 Orということで期待していたのですが、20年以上経っているからかR200SSとの組み合わせでは期待したほどの性能を発揮することもないため、残念ながら最近出番はありません。

オルソ : Or40mm 36.4mmねじ込み式

Or40

36.4mmのねじ込みタイプの接眼レンズって珍しいのではないでしょうかね。望遠鏡のオーナーとなる前の方にとって、望遠鏡の性能=倍率と思える時期もあると思います。しかし、実際にオーナーとなってみると、実は、低倍率、広視界の夜空にこそ、知らなかったもの凄い魅力があるのだ、と感じる時期があると思います。
 私もその魅力にとりつかれ、望遠鏡購入後、K20mmよりも低倍率広視界の夜空をどうしても見たくなり、追加購入したのがこのOr40mmです。付属の接眼レンズが5000円くらいだったのに対し、1万円以上したこのレンズ。お小遣いで購入した私にとって、まさに宝物でした。実は当時ビクセンが発売していた広視界アイピース、Er(エルフレ)が欲しかったのですが、行きつけの望遠鏡ショップの方の勧めでこのOr購入となりました。
 FL1000mmの反射望遠鏡と組み合わせると25倍。月の全景を良く眺めてました。満月が本当に美しい物だと知ったのはこのレンズです。また、天体観測初心者の私に低倍率・広視界、もっと言うと、天体観測の楽しさそのものを教えてくれたのは当時購入した反射望遠鏡とこのレンズの組み合わせだった、と言っても良いと思います。
 焦点距離の関係で、R200SSとの組み合わせではほとんど使っていませんが、思い出のレンズですので大切に保管しています。

接眼レンズ2013年01月27日

中学生の時に購入したポラリスR100L(10cmの反射赤道儀)以来、ほぼ四半世紀ぶりに購入したR200SS+SXD赤道儀。かれこれ5年ほど前のことです。

購入当時、接眼レンズに関しては、OrやK、HMなどいくつか種類があって、その用途や性能が異なることは理解していましたが、どちらかというと倍率を変える道具くらいにしか考えていませんでした。

ポラリスR100Lに付属していたOr5mm(ツァイスサイズ)
 
Or5mm

このOrも使おうと思っていたのですが、R200SSでは合焦できなかったため、以下のレンズを揃えました。

LV2.5mm・・・320倍(600倍)
NLV4mm・・・200倍(375倍)
NLV10mm・・・80倍(150倍)
LVW22mm・・・36倍(68倍)
 ※()内はエクステンダー利用の場合の倍率

接眼レンズを選びそうな単焦点反射ですので同じメーカーの製品を選んでおけば間違いないだろうというのが上記を選んだ理由なのですが、そもそもテレビューはじめ、有名どころの製品をほとんど知りませんでした。

当時は丁度接近を向かえていた火星をLV2.5/NLV4を使って観測し、表面の複雑な模様などを見てとても感動していました。

それから3年経つ頃に・・・、私の中で接眼レンズに関して大きな転換期を迎えます。

”接眼レンズ”シリーズでは、何回かに分けて、手持ちの接眼レンズや接眼レンズに関して私の学んだことなどをご説明をしたいと思います。